台東区身障児者を守る父母の会グループホーム訪問記

事の始まりは全肢連全国大会・沖縄会場でたまたま隣の席にいた女性が台東区の守る会の元会長・内藤由美さんだったこと。
内藤さんは「無いサービスは親が作っていく、事業が軌道に乗ったらNPO等に引き渡す。事業の運営が親の会の仕事ではない。さらに新たなニーズを掘り起こし、ないものは作っていく」と言われた。

その言葉にはとても強い意志が感じられ、機会を見つけてぜひ訪問させてほしいとお願いした。

1月24日WAM助成金説明会に東京に行くことになり、内藤さんに連絡をとり、重度重複障害者グループホームアポロ」の見学が実現した。
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8時40分にホームの前で待ち合わせた。このマンションの1階部分(144㎡)に4人が暮らすグループホームがある。
2階以上は普通のマンションで自転車で出勤する人や登校する子どもがいた。

この奥にドアがある。
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2戸の間の壁を取り壊して1戸4室にしたためドアが2つ並んでいた。
入居者の方と内藤さん。
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表に出て生活介護のお迎えのバスを待ちます。2か所に分かれて通所。
お迎えはバスでした、さすが東京、送迎車もデカい!(福岡はワゴン車が普通なのでびっくり)
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乗り込んだ後、笑顔で「行ってきま~す!」

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バスの窓から手を振ってくれました。
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この方は知らんふりして撮らないとコギゲンを損なうそうです。
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外出の前に撮影させてもらいました。
畳のお部屋で、奥には布団乾燥機でお布団を乾燥しています。
昼間は紙オムツはしません、なんとなくサインを送ってくれるので失敗はありません。
夜間のみオムツを使いますが、この日は量が多かったよう。
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毎週金曜日、保護者が集合し「アポロ会議」。
言葉で伝えられない人たちなので、スタッフと家族が密に話合う場を作っているそうです。
各ご家族は全員徒歩で通える圏内。本当に「地域で暮らす」ことが実現しています。
ただこれが可能なのは「台東区という特徴、狭い面積に住宅が集合しているから」と内藤さん。
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入居者が出掛けた後のホームを見学。
2戸を1戸にしたため、流し台・トイレ・風呂が2戸分あり、超便利とか。
キッチンを拭き上げ、まな板を消毒しながら、「普通の主婦みたいでしょ」と職員の石口さん
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居室の前で職員の武井さん
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生協のカタログで食材を調達しキッチンで調理するそうです。
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規則で職員用の居室はあるそうですが、それでは全員の夜間の気配がわからないと、リビングのソファで職員さんは寝るそうです。
一人ひとりの暮らしを大切にし、家族が歩いて通える場所に、気の合った仲間が職員に支えられ、地域に溶け込みながら暮している、そんな感じでした。
職員さんたちの明るい、温かな声掛け、家族のような雰囲気、やはりホームは人材が命だな、と思いました。

グループホームアポロを後にします。
次に向かうのは台東区保健福祉センター内に入っている
「身体障害者生活ホーム フロム千束(せんぞく)」
立派な建物です。
このセンターには他に
・特別養護老人ホーム
・せんぞくデイホーム
・千束健康増進センター
・つばさ放課後クラブ
・千束自転車一時保管所
・防災用千束職員住宅
が入っています。
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内藤さんの話によると、区がこの建物を作る時に、ホームも必要だと申し入れ、ならば、ということで手をつなぐ親の会と内藤さんたちの父母の会が一緒になって「社会福祉法人 つばさ福祉会」を立ち上げたそうです。そしてこの事業を運営しています。スゴイ話です。
ここからも生活介護に出かける女性がバスに乗り込んでいました。
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福祉センターは建物のみの見学で次にNPO法人りんご村が運営する生活ホームりんご村に行きました。
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2階建て長屋のような賃貸住宅(台東区は細く高い建物が多いそう)の1階に事務所と生活ホームがありました。
ここでは「宿泊活動」「余暇活動」「相談支援」「居宅介護サービス」などが行われています。
宿泊活動は「どんなに重い障害を持っていても、地域での希望する暮らしを求めて活動を展開していく・短期(1日)~長期(3週間)までを本人や親の希望に合わせてローテーションを組んで宿泊をする」ものです。
この活動に27年前から取り組み、グループホームへと巣立って行った人たちがたくさんいます。

父母の会の頑張りと、行政の働きの結実がここにあるのだろうと思います。
「行政マン・スタッフを育てるのも私たち親」と内藤さん。
行政の不備を嘆く前に、行政との上手なかかわりに心を砕くことも大切だと教わりました。
議会とのかかわり方も教わりました。
「宿泊活動」の日は送迎バスは生活ホームに迎えに来るそうです。
「宿泊の日はここが家なのだから」と柔軟な運用を求めたとのことですが、ここに至るまでにはそれなりの時間も必要だったとのこと。しかし、あきらめず、辛抱強く実現させる粘り。
「図々しく、厚かましく、心を込めて」と笑う内藤さん。
必要なものは勝ち取っていく強さも教わりました。
最後は、どうすれば福岡で、ショートステイやグループホームが実現するかと、皆さんで知恵を出し合ってくださいました。
左から
石井昭男 台東区身障児者を守る父母の会副会長
桐木愛香  相談支援専門員
竹谷友香里 コーディネーター
内藤由美 台東区身障児者を守る会元会長
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本当に有難うございました。
皆さんの活動を目標に、福岡でも頑張ります!